「あの、素晴らしい をもう一度」「空の浮動産」の自転車創業のアドベンチャーゲーム。システムは「あの、素晴らしい をもう一度」と「空の浮動産」を合わせたようなもの。
色の無い特異な「ロストカラーズ」という世界が舞台。3つのANOSというアイテムを手に入れることが目的で、ANOSを手に入れる過程で「ロストカラーズ」の世界の謎と解き明かしていくことになる。
ゲーム中に取得した情報が「記憶管理モード」という画面から項目別に確認できるようになっているのだけど、これは単に「それまで得た情報を確認できる」というユーザーフレンドリーなシステムというだけではなく、場面によって必要と思われる情報を「記憶管理モード」から選択することによって先に進むことができるようになっている。例えば、遺跡についてのヒントを別の場所で聞くことできた場合でも、実際に遺跡に入る場面で何もしなければ話は進展しない。記憶管理モードからそのヒント情報の項目を選んだ状態で遺跡に行けば、話が進展し、新たな情報やアイテムが手に入る。普通のアドベンチャーの場合、フラグが立ったら自動的に先に進むけど、このゲームではこの場面ではどのフラグが正解なのか選ぶ必要がある。
正直、とっつきがいいとは言えない(「空の浮動産」を遊んだことのある人はスムーズに遊べると思うけど)。しかしシステムをある程度理解すれば、推理アドベンチャーというわけじゃないけど、自分で考えて解いていくのが楽しくなる。このシステムによって「先に進むための手順が面倒」ということにはなかった。
ある場所で何かを手に入れるためのヒントを別の場所で手に入ったり、あるいは過去に聞いた情報から「この場所のヒントはあの場所にあるはずだ」みたいなことが考えて実際に行ってみたら予想通りの展開になったり、情報を入手した時はどこで使うかよく分からなかったものが話を先に進めた時に役に立つことがあったり。いろんなところからパズルのピースとなるものを見つけてきて、それがぴったりハマる場面を考えていくような感じだった。
コマンド総当たりでは解けないけど、先に進むためのヒントはちゃんとゲーム中に出てくる。ほとんどの謎に関しては適度なレベルだったと思う。何個か、「分からないと何時間かかっても分からないかも」というのはあったけど(その難易度の高い謎の解法のヒントもゲーム中にちゃんと出てきてはいるんだけどね)。
全ての謎を解くために、いろんな場所を廻り、同じところを何回も行き来することが多く、必然的に同じような場面を何回も繰り返すことになるけど、その点も上手く考えられている。
ただしマニュアルに書かれている「ANOSモード」の頁があまり具体的には書いてなくて、こういう使い方をすれば便利ですよ、こういう時にこう使うと便利ですよ、みたいなことが分かりづらいような気もしたけど。
このゲームには「記憶管理モード」とか「ANOSモード」とかいろいろなモードを利用する必要があるけど、それぞれのモードにはコントローラーのボタン1つ押すだけで移動できるので便利。マニュアルには「操作説明はコントローラでの操作を前提として書かれています。」と書かれており、普段マウスのみでアドベンチャーゲームをやっているのでびっくりしたけど、でも慣れればコントローラーでの操作は便利だった。もちろんマウスだけで操作することも可能。
スタートしてしょっぱなの選択肢が「苦しめて殺す」「苦しまずに殺す」の二択。このゲームの主人公・レアルは快楽殺人者と言われても仕方がないヤツで、しかも始末の悪いことに自分の自分勝手な面を認識していない。しかし結末はそれなりに納得のできるものだったと思う。
主人公以外のヤツも良く言って変、悪く言えばキレてる、というのばかりだけど、ほとんどの登場人物はストーリー上で何かしらの役割を担っている。
初めは伏線が散りばめられた展開、という感じはしなかったんだけど、しかし後から「あの時のアレはこういうことだったのか」と分かるようなものが多かった。ストレートには語られていないもの(暗示的に語られているもの)も少しあるので、ある程度は考えて読まないといけないけどね。
ゲームの大部分は「3つのANOSを手に入れるための探索」になるのだけど、しかし終盤あたりはどんでん返しのある展開だった。
ゲーム中のグラフィックは地味だけど、しかしオープニングはギターソローの音楽が渋くてかっこよかった。オープニングムービー自体も、ストーリーの先取りというか伏線のようなものがあるしね。