青の六号〜歳月不待人〜

 このゲームを短く簡潔に紹介するとこうなる。

 「OVA「青の六号」のゲーム。潜水艇で海底に潜り、ギルドから依頼されたアイテムを探してGETするのがメイン。」

 でもこれだけだと「青の六号」好きな人向けとか、海が好きな人向けというイメージになってしまうかな。でも僕は「青の六号」を見てなかったけどプレイに全く支障は生じなかったし(ゲームクリア後にOVA「青の六号」を見た)、僕は特に海が好きじゃなかったけど、潜水艇でこのゲームの世界の海底を探索することに浪漫を感じてしまった

 なお、このゲームの売上本数は約3000本…。僕的には面白いゲームだと思うし、評判自体も悪くなかったようなんだけど、でも売れなかったようです。もちろん攻略本も出てません(このゲームは難易度が高い部分が少しあるので、攻略本があった方が助かるんだけどなぁ)。ゲームシステムやバランス、テンポといったゲームの核となる部分は上手く出来てるし、グラフィックなどのゲームの表面的な要素にしても画面の1/3サイズの顔グラフィックが微妙にアニメーションしたり、ムービーがOVA並だったりと、決して手抜きされてないレベルだと思うんですけどねぇ。

 

海底世界

 海と言うと「美しい海の自然」「明るい青」といったイメージが思い浮かびそうだけど(セガから発売されている「エコー・ザ・ドルフィン」とかはそんな感じだね)、しかし「青の六号」の海は違う。なにせ「青の六号」の世界は「全地球規模の気候変化により、多くの大陸と、そこにあった都市が海中に沈んだ」という世界なので、その海にはビルや高速道路、住宅が立ち並ぶ。高速道路にはバスが沈んでいるし、地下鉄跡のトンネルには列車が沈んでいる。カニやサメが突然変異して巨大化、凶暴化したモンスターになっている。いわば、海は「自然」ではなく「廃虚」。雰囲気もそれに合わせた感じで、色調も同系統の色でまとめられた暗いもの。

 ゲーム中、この独特な海底世界で

といった感じのことをやる羽目になる。

 

潜水艇の操作

 潜水艇の操作は Rボタンで前進(押しつづけるとスピードアップ)、Lボタンでバック、X+Rボタンで上昇、X+Lボタンで下降、Aボタンでミサイルやマニュピレータの使用、Bボタンで装備切替、Yボタンでソナー発射、アナログ方向キーで方向転換。潜水艇の操作の仕方自体は複雑ではないんだけど、しかし実際に潜水艇を自由自在に動かすということになると少し慣れが必要かもしれない。海中ならではの慣性が働いていて、自分の思ったところでピタッと停止するなんてことは不可能に近い。潜水艇なので平行移動の操作は存在しない。

 どちらかと言えばリアリティをちょっと優先した不自由な操作感だけど、しかしある程度慣れてくると、ミッションをクリアしていく時には「そこまでいくんじゃな〜い」「壁にぶつかる〜」とか思わずさけんでしまう羽目になるのもあまりイライラしなくなった。それに装備をカスタマイズすることによって性能がかなり変わるので、ミッションに合わせたカスタマイズ、自分に合ったカスタマイズを考えて攻略するのも面白かった。

 

モンスターの恐怖?

 「モンスターの恐怖」なんて書くのはちょっと大げさかな。サメとかは目がちょっと怖かったけどね。モンスターがこちらを見つけると突然BGMが変わったり、いきなり後ろからゴツンとやられることが多かったり、目の前にサメやカメがドアップで迫ってくるので戦闘中にドキドキすることが多かった。しかも後ろや横からやられても、すぐに後ろや横を向くってのができないから余計あせるんだよね。逆に前方から向かってくるモンスターに対してミサイルを撃ちつつ後退・・・という場合でも、潜水挺の後退速度はかなり遅いので、モンスターを撃破する前に潜水挺の近くに迫ってきたり・・・。

 モンスターがぶつかった時に効果音とともにダメージを受けた箇所やダメージ量が色で表示されるのも効果的。ダメージがシリアス状態になってずっと色が赤で警告音が鳴りっぱなしの状態でなんとか海上へ上がろうって時は本当にドキドキする。特に狭い地下鉄跡でモンスターから逃げ回っている時は、まず地下鉄跡の出口まで辿り着いて、それから海上へ上がらなければいけないので、なおさら。

 また、ミッションで目的のものを見つけるのにソナーを使用してレーダーでどのあたりにあるか見つけることが多いけど、ソナーを使用すると音がしてモンスターが寄ってくる、というシステムなので、ソナーも気を付けて使わないといけない。ソナーを使ったとたんにBGMが変わってモンスター襲来〜って羽目になることもあるし。

 モンスター自体は「倒すのが絶望的」というほどの強さではないけど、しかしこのゲームでは「モンスターを倒す」というごく一部のミッションを除くとモンスターを倒しても何のメリットもないんだよね。むしろ、モンスターを倒すために使う弾薬やミサイルに金がかかることを考えると、倒さずに逃げるのがベスト。それでモンスターのそばをダッシュで逃げていく・・・という羽目になるので「モンスターちょっと怖い」ということになってしまう。このゲームでは装備やミサイルの購入にはお金がかかるけど、潜水挺の燃料とか酸素とかにはゲーム中全くお金がかからないし、モンスターからダメージを受けたりしても(一定以上のダメージを受けたらゲームオーバーだけど)特に修理費用とかはかからない。要するにモンスターを倒して安全に探索するよりも、多少ダメージを受けても逃げ回りながら探索した方がコスト的には有利。リアリティを求めるなら、それらにもお金がかかるのが普通だけど、しかしそうしなかったのは、その方がゲームをストレスなく進められるのと、モンスターを兵器で倒す爽快感よりもモンスターから逃げるスリルの方を優先した結果かもしれない。

 

OVA「青の六号」との関連

 OVAと世界観が同じだけでなく、ゲーム版の主人公も速水鉄で、その他、OVAに出てきた伊賀艦長やベルグも登場するし、その他のキャラもほんのちょっとだけどいちおう登場する(紀之真弓、ミューティオは登場しない)。ただし、OVAを見ていなくてもゲームには全く支障がない…というより、OVAとゲーム版は別次元のもの、と言えるかもしれない。世界観や雰囲気、という点では共通しているかもしれないけど、やっていること、というのが全く違うから。

 OVAでは潜水艇グランパスを速水が駆って、敵の艦隊の中を突撃するシーンが前半の山場だけど、それと似たようなシーンはゲーム中ではほとんどない(最終戦闘ぐらい)。逆に、ゲーム版では印象的だった巨大ガニとかサメとかはOVAには出てこないし、地下鉄線路をくぐりぬけるシーンとか深海を探索するシーンとかもOVAにはない。第一、ゲーム中での主目的と言える「アイテムのサルベージ」を彷彿させるシーンはOVAにはそもそもない。

 原作があるゲームってのはやはり原作の雰囲気を壊さず、しかも原作の持ち味を活かす、という点が大事だと思うのだけど、ゲーム「青の六号」は、原作の持ち味を活かす、のではなくて、原作にはない新しい世界を創造しているってのは誉めすぎかな?。

 

ストーリー展開

このゲームはギルドからの依頼を順々にこなしていくと、ストーリーも淡々と少しずつ進んでいる、という感じ。ストーリーの展開自体はそれほど速くないのだけど、しかし終盤になるといきなり展開が急になる。ムービーのうち約半数が最終ミッション中やその前後に使用される。終盤ではどんでん返しが用意され、ムービーも効果的に使用されている。最終ミッション中の仕掛けもなかなか面白かった(何度もゲームオーバーになったけど)。エンディングでの○○特攻シーンはシチュエーション的にはありふれたものかもしれないけど、ムービーが効果的に使用されているので、思わず感動してしまう「えー場面」に感じてしまった。


管理者:中霧里五
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