久遠の絆・再臨詔

 僕は面白かったです。ただし、アニメーション的演出やボイスがないのが我慢できない人、文章アレルギーで長い文章を読み続けることができない人にとってはあまり面白くないゲームかもね。 

 

 輪廻転生を主軸としたストーリーで、現代から平安、元禄、幕末にまたがった話が展開される。主人公は現代の高校生・御門武だけど、ストーリーが進むと、武の前世の人物、平安時代の安倍鷹久の物語が展開され、その後も元禄での前世の人物・池田真之介の物語が展開されたり、幕末での前世の人物・葛城信吾の物語が展開されたりする。

 小説を読んでいるような感じが強く、テキストの量も多い。僕は本を読むのが比較的好きな人間だからテキストが多いのはそれほど苦にはならないし、それに構成的に上手くまとまっているお話、それなりまとまった文章を読んでいる感じがした。

 お話としてはかなりシリアス・・・と言うか、もの悲しい雰囲気。悲しいエピソードも結構あるし、最終的にハッピーエンドを迎える・・・と言っても、みんな幸せという都合のいい結末にはなってないと思う。

 なお、「久遠の絆」はもともとプレイステーションで発売されたのだけど、移植というよりリメイクに近い形で、大幅にグレードアップしてドリキャスに移植された。

 

輪廻転生

 「久遠の絆」は輪廻転生を主軸にした話なんだけど、それが非常に効果的になるような構成になっている。

 前世での物語が展開されるごとに、前世からの因縁、宿命などが少しずつ明らかになっていく展開が面白い。前世での物語には御門武だけではなく、現代において武の周辺にいる人物の前世での姿も登場するのだけど、それが物語の佳境になってから明らかになっていく展開がいい(顔グラフィックの感じでバレバレな感もあるけどね)。登場人物の前世での性格が時代ごとに微妙に異なっているのも新鮮

 

歴史

 「久遠の絆」は平安、元禄、幕末が舞台となった話が展開されるのだけど、その時の話がその時代の民話を模したものだったり、その時代の歴史事件が話に盛り込まれたり、その時代の歴史上の人物が登場したりする。歴史や神話を効果的に盛り込んだ構成になっている。

 例えば、幕末の話では新撰組の沖田総司が登場する。なお「久遠の絆」の新撰組はミーハーな感じの存在ではなく、人々に恐れられる人斬り集団として扱われ(おそらくこちらの方が歴史どおりかな?)ている。沖田総司もただの天才剣士、美男子としてではなく、心に弱みを持つ極めて人間的な人物として登場するのも個人的には良かった。

 

Es(エス)リアクションシステム・物語の分岐

 「久遠の絆」はコマンド総当たり式のものではなく、自動的に進む話の中で選んだ選択肢によって分岐するというタイプのもの。「久遠の絆」では3人のヒロイン、万葉、栞、沙夜先生が登場するけど、選んだ選択肢が万葉に好意的なものが多ければ、最終的に万葉と結ばれる結末に、栞に好意的な選択肢が多ければ栞エンディングに、沙夜先生に好意的な選択肢が多ければ沙夜エンディングになる。

 マルチエンディングというより、中盤以降は3つの異なる話に分岐する、という感覚。トゥルーエンドは万葉エンディングのようだけど、栞や沙夜先生のエンディングに至る展開もそれなりに面白かった。

 ただ、プレイ中にそれぞれのヒロインに対するポイント量が確認できたり、ポイントが上下する選択肢を選んだ時にそれが分かるような表示や効果音とかがあった方がいいと思う。

 

操作性

 「久遠の絆」は途中で分岐があったり、最終的な結末が複数あったりと、何回かプレイする設計になっている。しかし一度見た場面の文章はXボタンをポンと押すことで(押したままにしておく必要はない)文章を自動的に高速スキップすることが可能なので、再プレイをスムーズに進めることができる。逆にまだ見てない文章はスキップできないようになっているので、この選択肢を選んだ展開は既に見たか、見てないかが分かりやすい。

 「久遠の絆」はセーブするのに必要なブロック数が30ブロックと比較的多いけど、しかし1つのファイルに20個の記録をセーブしておくことができるので便利。

 

再臨詔シナリオ、おまけシナリオ2つ

 平安時代のシナリオで名前を入力する場面でデフォルトのまま(薙)にして、そして万葉エンディングを見た後、最初から始めてある選択肢を選ぶとドリキャス版追加シナリオ「再臨詔」ができる。選択肢のようなものはなく、完全な一本道(というか形態的には小説と同じ)だけど、ボリューム的にかなりでかく、お話の長さとしては本編とほぼ同じ。人物模様が本編の時と異なっているのが印象的だった。

 同じく万葉エンディングを見た後、1章の選択肢で本編に登場しなかった選択肢が2箇所で登場するけど、それを選ぶとおまけのギャグシナリオにが始まる。


管理者:中霧里五
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