Air

  選択肢によってストーリーが分岐し、ヒロインごとのエンディングに進んでいくタイプのもので、Tactics、Keyから出た「ONE」「Kanon」と同系統のゲーム。

 「ONE」「Kanon」は友人に貸してもらってプレイしたことがある。「ONE」も「Kanon」も面白かったけど、しかしそれに続く「Air」はそれほど期待を抱いていたわけではない。むしろ、同じようなものを既にプレイしたせいか、また同じようなゲームだろう、という気がしていたし。それに友人から「ハッピーエンディング」じゃないんだよ、という情報を聞いていたことも、僕のような「ハッピーエンディング」大好き人間にとってはマイナスだった。その後、友人が「Air」を含む4つのゲームを貸してくれたのだけど、「Air」をプレイしたのはその中の2つをクリアした後だった。「Air」プレイ当初はやはり「Kanon」や「ONE」と同じような感覚がしたし、それに主人公がビンボで甲斐性なしだったり、その割に女の子が勝手に寄ってきたりするのもちょっと気に入らなかったけど、しかし中盤までプレイしてみると、「ONE」や「Kanon」とは意外に違っていたような気がする。個人的には「ONE」や「Kanon」よりも「Air」の方が好み

 ゲームとして「Kanon」「ONE」よりも「Air」の方が優れている、というよりも、僕の個人的な好みとして「Air」の方が合ったということだろう。「Kanon」「ONE」のようなゲームと「痕」や「久遠の絆」のようなゲームどっちが好きかと言われたら、僕は間違いなく後者を選ぶ。「恋愛物」が嫌いというわけじゃないけど、「痕」や「久遠の絆」のような輪廻転生物、伏線がハッキリしているものの方が好きだから。そして「Air」は「愛」というキーワードとともに「輪廻転生」が絡んできた、いわば「僕の好み」に合ったものだった。また、ヒロイン全員のエンディングを見るとSUMMER編、次にAir編がプレイできるようになるのだけど、それらをプレイすることによって、本編のあるキャラが主人公にまとわりついた理由とか、本編のあるキャラの言動の裏にあった事情とか、そういったものが明らかになる展開、伏線がハッキリした展開なのも「僕の好み」に合ったものだった。また、「Kanon」「ONE」と比べてキーワードとして「恋愛」よりも「家族愛」の方が重要なストーリー展開になっているのも個人的には良かった。

 個人的にはSUMMER編の終盤あたりから急激に面白くなった。SUMMER編のあるキャラのセリフ「忘れても、いいんだ 子を産んで育てて、慎ましい幸せを求めても おまえだけの幸せを・・・追いかけても 神奈はきっと、許してくれる 神奈には俺が謝っておくから」が個人的には好き。「Air」編の最後あたりの展開は「感動的な展開」があった後に「感動的な展開」が、それが済んでもまた「感動的な展開」という感じで、まだこれ以上のダメ押しの展開があるのか、という気がした。ゲーム全般を通してBGMの挿入、変更のタイミングが上手いけど、「Air」編の最後あたりの音楽を挿入するタイミングの良さは中でも絶妙。友人から「ハッピーエンディング」じゃない、と聞いていたのにかかわらず「哀しい」と感じてしまった。

 「Kanon」「ONE」と比べて、ヒロインが5人から3人に減り、真の意味でのヒロインは完全に一人だけど、その分「感動的な展開」になったと思う。「ONE」のように、主人公の存在が消える、というパターンが繰り返されたり、「Kanon」のように、各ヒロインのストーリーごとに「奇跡」が起きる、「奇跡」が大安売りされたりする、というよりは、ヒロインを完全に1人にしぼって、その1人のためのストーリーを描くことを第一に考えたストーリー展開にするのも個人的にはいいと思う。

 「Kanon」も「Air」も18禁版の他に「全年齢対象版」が発売されており、実際、「Hシーンなくてもいいじゃん」なゲームなんだけど、「Air」は「Kanon」以上にHシーンがあっさりしていて、そして「Kanon」以上に「Hシーンなくてもいいじゃん、18禁にする必要ないじゃん」なゲームだった。


管理者:中霧里五
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