アージュのゲーム
君の望む永遠
君が望む永遠〜special FanDisk〜
マブラヴ
マブラヴ オルタネイティブ

マブラヴ オルタネイティブ(ALTERNATIVE)

内容

 マブラヴの続編。マブラヴ自体が未完結のまま終了しており、「オルタネイティブ」が完結編となっている。前作をやっていることが前提。
 前作のキャラの他、新キャラ少しと「君の望む永遠」の速瀬水月、涼宮遥、涼宮茜、「君がいた季節」の伊隅みちるも登場する。ただし「君の望む永遠」「君がいた季節」をプレイしてなくても支障は無さそう。
 平和な地球で生活していた白銀武は突然並行世界の地球で目覚める。謎の地球外生命体「BETA」との戦争によって人類滅亡の危機に陥っている並行世界の地球。武は207衛士訓練部隊、後に特殊任務部隊ヴァルキリー中隊に所属する。戦術機と呼ばれる人型兵器に搭乗し、「BETA」との戦争を戦い抜く。

感想

 前作は訓練期間がストーリーの大部分を占めており、ようやく戦術機に乗ったものの実際に敵と戦う場面は無かった。ロボットアニメ好きとしてはその点で残念であり、「オルタネイティブ」では戦術機が活躍するのを期待していたし、実際期待通りだった。

 しかしある程度は予想していたものの、単純に戦術機で敵を倒していく、というストーリーではなかった。もちろん「ガンダム」「エヴァンゲリオン」などメジャーなロボットアニメも「単純に敵を倒していく」話ではないし、「オルタネイティブ」もそうだったとしても驚くことではないのだけど、「これからあんたとあたしが進む先には・・・・・・死ぬ事すら生ぬるいと感じる程の地獄が待っているわ」というセリフが自然に実感できる凄惨な展開になっている。
 僕が知っているロボットでイメージが近そうなのは「Vガンダム」と「トップをねらえ!」。凄惨な描写が多い点で「Vガンダム」。敵が化け物で人類の天敵な点、数々の試練にぶつかりながらも成長していく点で「トップをねらえ!」。
 
 選択肢はあるものの、ストーリーはほぼ一本道であり、結末は一つ。ただしボリュームは大きい。前作で謎だった「オルタネイティブ4計画」についても今回でその全貌が明らかになる。その正体は予想を越えるものだったし、それ以外にも「あの時のこれはこういうことだったのか」と後になって分かることが多い。「因果律量子論」とか「因果導体」とかワケわからん設定も出てくるけど、そのあたりを理解せずにスルーしても特に支障は無いかと。
 余談だけど、前作発売から3年経過し、発売延期も多く、延期四天王と呼ばれただけあり、エンディングのスタッフロールのスペシャルサンクスのところには「『マブラブ・オルタネイティブ』を待ち続けて下さったすべての方々」も入っている。
 
下にスクロールするとネタバレ有り感想
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

過酷な展開 主人公の成長

 ガンダムにありがちな「無能な高官」「粗暴な兵士」の登場は皆無に近い。主人公の武と共に戦う仲間、武を導く上官、先輩も人格的に立派な軍人と言っていい。遥か上の立場の将官クラスの人間も自己犠牲を厭わぬ立派な軍人と言っていい。戦いに加わらない民間人や文民もそれぞれの責務を果たし、エゴまるだしの汚い人間は出てこない。そして主人公の武自身が類稀な才能を持ち、周囲から頼りにされる存在になっている。武が所属するヴァルキリーズは武以外のメンバーが全員女性(色っぽい展開は全く無いけど)。
 しかしこれだけの好条件がそろいながらも、「ガンダム」「エヴァンゲリオン」よりも過酷なストーリーになっている。戦闘は次から次へと危機的な状況、絶望的な状況になるし、戦闘以外の面でも次々に武を追いつめる事態が発生する。
 トラウマになるくらい強烈な出来事があったのに、更に追い討ちをかける事態が発生し、もうこれで最後かと思いきや、まだ隠し球が残っていた、という感じ。「何度も何度も同じ様な事繰り返して、その度にわかったつもりになって・・・・・・また頭ぶん殴られるみたいな事、ずっと繰り返してるんですよ」と武が叫びたくなるのもよく分かる。
 前作で武は最終的にヒーローと言っていい存在まで成長したと思っていたけど、しかし実際はまだまだヒーローのレベルまで到達してなかったようで、「オルタネイティブ」では戦場に出るようになってから数々の試練を乗り越え、才能を超えた精神的な強さを身につけていく。

「壊す」こと

 抽象的な言い方だけど、オルタネイティブは「壊す」ということを容赦なく実行した展開だった。
 人が死なない展開にはならないだろうと思っていたし、かなりの戦死者が出るんだろうとは思っていたけど、しかし武にとって一番近い存在の元207組の面々が武以外全滅というのは予想してなかった。ストーリー上で主人公に近いキャラが死ぬのはそれまでの流れを「壊す」ことになる。もちろん敢えてそれを壊すことによって、強烈な印象を残すことになるのだけど。
  他の作品からゲスト出演組も死なせると元の作品のイメージが壊れるような気がするけど、しかし容赦なく死ぬ。もちろん彼らの死はストーリー展開上でも重要な位置付けに入るものだったけど。
 逆に戦死しても「壊す」ことにあまりつながらないキャラは死ななかった。ヴァルキリー中隊で「オルタネイティブ」から登場した新キャラは死なない。おっさんキャラが特攻するのはよくあるパターンだけど、壬姫の親父さん、美琴の親父さんは死なない。主人公達とは一定の距離を置いているキャラ、脇を固めるポジションにいるキャラがカッコよく死ぬのはよくあることだけど、月詠さんは死なない。
 
 「オルタネイティブ」では正視に堪えないグロ画像が出てくる場面があり、そのことはネットでも話題になったけど、ある意味それも「壊す」ことにつながっている。
 グロと言っても全編通じて2つしかない。漫画の「ベルセルク」とかと比べて量的にグロは格段に低い。しかし「オルタネイティブ」にそういう類のものが出てきても問題にならない下地があったとは言えないだろう。
 それでもグロの対象が男性キャラとかであれば問題は無かった。女性キャラでも主人公と関係の薄い重要度の低いキャラであれば問題は無かった。実際、「ベルセルク」でも重要度の低い女性キャラの生首は出てくるものの、主人公と関係の深い女性キャラのそういう類のものは今のところない。しかし「オルタネイティブ」の2つの場面はどちらも女性キャラ(しかも片方はロリ属性のキャラ)で、どちらも主人公と関係の深いキャラなので「壊す」ことになっている。
 
 もちろん安易に壊しているわけではない。冥夜の死に様は文句無しにカッコよかったし、互いに相談してなかったのに結果としてみんな同じことをしていたという展開が悪いわけじゃない。グロもBETAの恐ろしさ、コミュニケーション不能、トラウマを植え付ける役割と言えなくもない。
 しかしこういうものを望んでいたか、というと全面的にYESとは言えない。「エヴァンゲリオン」や「イデオン」は強烈な印象を残したアニメだけど、しかしその結末を肯定したくはない、と考えるのと同じかもしれない。
 最終決戦で出撃が元207組のみという時点でこりゃ全員死んだと思った。実際それまでの佐渡攻略戦で伊隅みちる中隊長、横浜基地防衛戦で速瀬水月、涼宮遥と容赦なく死んでるんだから、最終決戦では全員死ぬだろうと。月詠さん達が己の武御雷を譲ったのを見て「もしかしたら」と思わないでもなかった。これで全員死んだら月詠さんの立場が無いから、もしかしたら死ぬのは1人か2人かなと。プレイしているこちらはそれを望んだし、せめて選択肢次第で変えられるのかと思った。しかし結末はやはり変わらない。


管理者:中霧里五
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